健康保険の仕組みを理解しよう
民間の医療保険に加入されている方も多いと思いますが、加入する前に公的医療保険である健康保険についての理解を深めてみましょう。
健康保険ってどんな保険?
健康保険は、健康保険の加入者が病気やケガ、死亡、出産時に給付を受けることが出来る制度です。
労災保険でも病気やケガ、死亡といった場合に給付がありますが、労災保険は業務中や通勤中が対象となっていますが、健康保険はそれ以外の場合です。
つまり、労災保険で給付の対象とならない病気やケガ、死亡といった場合に給付を受けることができます。
健康保険は3種類
公的医療保険の健康保険ですが、運営する団体により3種類あります。
保険の種類 | 加入者(被保険者)の大体のイメージ |
---|---|
組合健保 | 大企業(※)の会社員とその扶養者 ※加入者が700人以上などの条件があります |
協会けんぽ | 組合健保以外の会社員とその扶養者 |
共済組合 | 国家公務員、地方公務員、私立学校の職員とその扶養者 |
保険料はいくら?
保険料については、次の計算式で求めることができます。
保険料 = 標準報酬月額 または 標準賞与額 × 保険料率
あなたが支払う保険料 = 保険料 ÷ 2
÷2となっているのは労使折半(会社とあなたで半分ずつ負担)
但し、保険料率は加入する保険団体で異なります。
保険の種類 | 保険料 |
---|---|
組合健保 | それぞれの組合健保で定められています 保険料率を知りたい場合は加入している組合健保に確認すると教えてもらえます |
協会けんぽ | 都道府県ごとに定められており、協会けんぽのページで確認できます 協会けんぽのH31年度の保険料率 |
共済組合 | 各共済組合のページで確認できます。 例えば、国土交通省共済組合などです。 |
健康保険の給付内容
療養の給付
被保険者が業務中や通勤中以外で病気やケガをした場合に、病院で治療を受けることができます。
- 診察
- 薬剤または治療材料の支給
- 処置・手術その他の治療
- 在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護
- 病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護
その際、治療費は一部が自己負担で、残りは健康保険が負担しています。
自己負担の割合は、年齢によって変わります。
年齢 | 自己負担割合 |
---|---|
70歳未満 | 3割 |
70歳~74歳 | 昭和19年4月1日以前生まれの方:1割 昭和19年4月2日以降生まれの方:2割 現役世代並みの所得者:3割 |
家族療養費
被扶養者についても療養費の給付と同様の保証があります。
自己負担の割合だけが違いますので、そこだけ確認しておきましょう。
年齢 | 自己負担割合 |
---|---|
小学校入学前 | 2割 |
小学校入学後~70歳未満 | 3割 |
70歳~74歳 | 昭和19年4月1日以前生まれの方:1割 昭和19年4月2日以降生まれの方:2割 現役世代並みの所得者:3割 |
高額療養費
意外と知られていないですが、とても重要な制度です。
公的医療保険には高額療養費制度という、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度があります。
例えば、標準報酬月額(厳密には違いますが月収と考えてください)が30万円の方が、ある月の医療費が100万円であった場合、実際に支払う必要のある医療費は約8万円となります。
自己負担の限度額は収入によって異なります。
以下は協会けんぽの場合の抜粋です。
適用区分 | 自己負担限度額 | 4回目以降 |
---|---|---|
年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
年収約770~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
年収約370~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
~年収約370万円 | 57,600円 | 44,400円 |
住民税非課税者 | 35,400円 | 24,600円 |
この高額療養費制度を知らないまま民間の医療保険に加入している方が結構おられます。
高額医療費制度についてより詳しく知りたい方は、参考に協会けんぽの高額医療費制度のページをリンクしておきますのでご確認してみてください。
更に、組合健保の場合は、更に自己負担が少ないことがよくありますので、必ず確認しておきましょう。
出産育児一時金
被保険者が出産した場合、1児につき42万円支給されます。
家族出産育児一時金
被扶養者が出産した場合、1児につき42万円支給されます。
出産手当金
被保険者が出産のために休業し給料をもらえないとき、手当金が支給されます。
支給される期間 | 出産前の42日間~出産後の56日間 のうち仕事を休んだ日数 |
1日あたりの支給額 | 算出基礎(※)となる日額の3分の2 |
※支給開始日以前の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額
傷病手当金
被保険者が病気やケガで会社を休み、給与が支払われない場合に手当金が給付されます。
支給条件 | 3日以上会社を休んだ場合 |
支給期間 | 会社を休んだ4日目から最長で1年6カ月 |
支給額 | 算出基礎(※)となる日額の3分の2 |
※支給開始日以前の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額
埋葬料
被保険者が死亡した場合に、家族に対して埋葬料が支給されます。
支給額 | 5万円 |
家族埋葬料
被扶養者が死亡した場合に、被保険者に対して埋葬料が支給されます。
支給額 | 5万円 |
健康保険と国民健康保険の給付内容の比較
健康保険と国民健康保険はよく似た制度なのですが、サポートされている給付内容に違いがあります。
健康保険 | 国民健康保険 | |
---|---|---|
療養の給付 | ○ | ○ |
家族療養費 | ○ | × |
高額療養費 | ○ | ○ |
出産育児一時金 | ○ | ○ |
家族出産育児一時金 | ○ | × |
出産手当金 | ○ | × |
傷病手当金 | ○ | × |
埋葬料(葬祭費) | ○ | ○ |
家族埋葬料 | ○ | × |