投資をはじめよう ~ 第5回:インデックス投資信託を購入しよう ~
前回までで、あなの資産を構成するためのアセットアロケーション(資産配分)が決まりましたね。
さて、今回は実際に証券会社でインデックス投資信託を購入していきましょう。
証券会社の口座開設をしよう
証券会社は今後何十年と付き合うことになりますので、ある程度の規模大きな有名どころから選択することをお勧めします。
また、新しい投資信託を積極的に取り入れている証券会社がよいでしょう。
SBI証券
もしどの証券会社にしようか迷われるのであれば、私も利用しているSBI証券はおすすめですよ。
おすすめな理由
- ネット証券口座開設数は国内No.1
- 投資信託の取扱数は2000本以上と非常に多い
- 新しい商品も積極的に採用されている
- 多くの銀行との連携が容易で即時入金が手数料無料
- 特に住信SBIネット銀行との連携が便利
昨年も他社で魅力的な商品があるなー。と思って暫くすると、いつの間にか取り扱いされていたりしますので、常に他社を意識しているのを感じます。
証券会社はここだけで特に不便はないです。
購入する投資信託の候補を絞り込む
証券会社で口座を開設したら、「第4回:金融商品の選択」で決めたアセットアロケーションに対応するインデックス投資信託を探してみましょう。
こんな感じで決めましたね。
ここからはSBI証券の画面で説明しますね。
投資信託を検索する画面までの手順
SBI証券のページでログインしたあとは「投信」をクリックしてください。
「銘柄検索・取扱一覧」をクリックしてください。
投資信託の一覧が表示される画面が表示されますので、「ファンドを絞り込む」の各項目で条件を設定しましょう。
投資信託の検索条件を設定する
ここからは、各項目で絞り込みます。
ファンド分類
購入したい資産クラスから絞り込む場合はこの「ファンド分類」を利用します。
各資産クラスに対応する条件はそれぞれ次の通りです。
■日本株式・・・「国内株式」をチェック
■先進国株式・・・「国際株式」をチェック
■新興国株式・・・「国際株式」をチェック
■日本債券・・・「国内債券」をチェック
■先進国債権・・・「国際債券」をチェック
■新興国債権・・・「国際債券」をチェック
投資地域
投資対象の地域から絞り込む場合はこの「投資地域」を利用します。
■日本・・・「日本」をチェック
■新興国・・・「エマージング」をチェック
■先進国・・・「グローバル」をチェックするのですが、先進国以外も含まれるため注意が必要
買付手数料
買付手数料とは、名前の通りですが投資信託を購入する際にかかる費用のことです。
この項目については「無料」を必ずチェックしてください。
買付手数料が無料の投資信託をノーロード投資信託といい、SBI証券でも多数取り揃えられています。
有料の商品を選択するメリットはありません。
因みに買付手数料が1%の投資信託を100万円分購入した場合は1万円が差し引かれた99万円が投資されることになり、マイナス1万円からスタートすることになります。
年5%程度の利回りを目指している私たちにとっては、かなりの痛手ですので繰り返しになりますが、「無料」の商品を選択してください。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託を運用するための費用で「信託報酬手数料」とも呼ばれる手数料です。
信託報酬手数料は、保有している資産額対して毎年かかる費用ですので、低ければ低いほど良いです。
特にインデックス投資信託の場合は、基準となる指数の通りに株や債券を購入するだけですので、ファンドマネージャーの手腕などは関係ないのです。
きっちりと手順通りに運用してくれるだけでよいので、基本的には同じ指数のインデックスファンドは同じ値動きになります。
そして、長期で考えた場合の運用成績はこの信託報酬手数料の差が大きくなってくるので、「低いほうが良い」となるのです。
純資産
投資信託は、投資家から資金を集めることで指数を構成する株式を購入しています。
少ない資金の投資信託を選んだ場合、指数と同じ比率で株式を保有することができず、ベンチマーク(日経平均やTOPIXなど)との差異が大きくなることがあります。
その場合、想定した利回りを得られないことになりますので、あまり純資産額の小さな投資信託は避けるようにしましょう。
償還まで
償還とは運用期間の終了のこと意味しています。
目的は将来のための資産形成ですので、運用期間が決まっている商品ではなく、継続的に運用を続けてくれる商品である必要があります。
そのため、ここでは「無期限」を選択しましょう。
特色
「インデックス」について
この項目は迷うことはないですね。
インデックス投資信託を購入するのですから「インデックス」をチェックしましょう。
次に「為替ヘッジ」ですが、こちらは「なし」の商品を選択したいので「チェックなし」です。
為替ヘッジを簡単に説明すると、
まず、海外の資産に投資する場合、通常はその現地の通貨で購入することになります。
購入時は日本円から現地通貨へ交換する必要があり、この時に為替レートが関係してきます。
この為替レートが購入時と償却時で異なる場合、損失(または利益)が出る場合がありこれを為替リスクと言います。
そして、その為替リスクを回避(ヘッジ)することを為替ヘッジといいます。
為替ヘッジは実際には先渡し契約をするなどの方法で行うのですが、ここで覚えておきたいことは、
「為替ヘッジを行うためには費用が発生する」
ということです。
つまりその分投資信託の費用も高くなります。
何より、為替リスクは必ず損失が発生するわけではなく、逆に利益が出ることもありますので、わざわざ費用を追加して利回りを低くする意味はないと考えています。
投資信託の内容を確認する
購入する候補となる投資信託の絞り込みが完了したら、それぞれの投資信託の内容を確認しましょう。
SBI証券のページに表示されている内容を確認しよう
例として、資産クラスが「先進国株式」のインデックス投資信託を購入するための手順で確認していきましょう。
以下の画面は、「信託報酬手数料」が安い順にするために、「手数料等費用」のタブを選び、「信託報酬」の▲をクリックして表示しています。
例えばこの中で「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を確認してみましょう。
すると、このような画面が表示されるはずです。
この画面では、次のポイントを確認しましょう。
運用方針
運用方針は、次のような文章で投資信託の特徴が書かれています。
ここはさらっと目を通すレベルでOKです。
MSCI Kokusai Index(MSCIコクサイ インデックス)(円換算ベース)と連動する投資成果をめざして運用を行います。原則として、為替ヘッジは行いません。
ベンチマーク
投資信託が連動する指数が記載されている重要な項目です。
購入したい資産クラス(例えば先進国株式)と一致する指数が記載されていることを確認しましょう。
ただ、記載されている指数について詳しく知っている場合は指数の名称のみで判断できますが、わからない場合もありますよね。
そのような場合は、その指数がどのような国や地域、会社へ分散しているのかを確認する必要があるのですが、残念ながらSBI証券のこのページには記載がありません。
確認する方法は、後述する「目論見書」という資料での確認方法をご紹介していますので、そちらをご覧ください。
買付手数料(税込)
この項目は「なし」になっていることを確認しましょう。
信託報酬 (税込)/年
信託報酬手数料が記載されています。
ここで注意点があります。ここに記載された信託報酬手数料はあくまで目標値であるということです。
実績値については、別の資料「運用報告書(全体版)」で確認する必要があるのですが、こちらはまた別の機会に説明することとします。
信託財産留保額
信託財産留保額は「なし」となっていることを確認してください。
信託財産留保額を簡単に説明すると解約時に支払う費用です。
解約すると保有している投資家にはマイナスなことですので、迷惑料と考えるとよいです。
解約手数料(税込)
解約手数料は「なし」となっていることを確認してください。
信託財産留保額と同じく解約時に支払う費用ですが、こちらは販売会社に支払う費用です。
その他
チャートなどが気になる方もおられると思いますが、長期投資で将来の資産形成を行う目的ですので、全く気にする必要はありません。
仮にリーマンショック後のチャートのように下落が続いている状態であったとしても、自分決めた毎月のタイミングで購入すればよいのです。
目論見書を確認しよう
SBI証券会社のページに記載されている情報で大まかな確認はできたかと思います。
ここからは、各ファンドから提示されている「目論見書」の記載内容を確認しましょう。
目論見書は、ファンドの特徴が書かれているもので大抵は以下のようなことが記載されています。
- どの指数(インデックス)に連動するのか
- 為替ヘッジの有無
- ファンドの仕組み(マザーファンドへの再投資など)
- 分配金について
- 投資リスクについて
- 運用実績
- 投資先(通貨別や組入れ会社など)
- 各種手数料
これまで確認してきたことが1つの資料にまとまっていますので、最終確認の意味でチェックしましょう。
目論見書はSBI証券のページからご確認いただけます。
下のページの「目論見書」をクリックします。
このようなページが表示されますので、目論見書の「閲覧」から確認しましょう。
私の購入している投資信託
みなさん自分が購入したい投資信託は見つかりましたか?
はじめて購入するときは色々と悩みますよね。
というより、結局どれを購入してよいのかわからない。といった感じでしょうか。
何度か購入しているうちに「目論見書」や「運用報告書(全体版)」でそのファンドの成績などを確認すると各ファンドの違いなどがわかってくるのですが、はじめての方には難しいかもしれません。
特に「運用報告書(全体版)」は数十ページあり理解するのに時間がかかります。
但し「目論見書」については、どの指数と連動しているのかといった投資方針や手数料など重要な項目のみをまとめた比較的わかりやすい資料となっていますので、最低限、こちらの資料には目を通してから購入するようにしましょう。
ご参考までに実際に私が購入している投資信託をご紹介します。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
日本株式については、eMAXIS Slimシリーズの国内株式(TOPIX)を購入しています。
選択した理由は次の通りです。
- TOPIX(配当込み)に連動
- 買付手数料が無料(ノーロード)
- 信託財産留保額が無料
- 解約手数料が無料
- 信託報酬手数料が同一ベンチマーク連動の中で最安値
- 過去実績から指数との連動も正確に行われている
- 再投資先のマザーファンドの純資産額が十分大きい
特に日経平均ではなくTOPIXを選択している理由は、より多くの企業に投資されているからです。
日経平均は東証一部上場企業の225社であることに対して、TOPIXは東証一部上場企業の全てが対象となっており、分散投資という観点からは考えてより目的に近いと考えているからです。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
先進国株式については、eMAXIS Slimシリーズの先進国株式インデックスを購入しています。
選択した理由は次の通りです。
- MSCIコクサイ・インデックス(配当込み)に連動
- 買付手数料が無料(ノーロード)
- 信託財産留保額が無料
- 解約手数料が無料
- 為替ヘッジなし
- 信託報酬手数料が同一ベンチマーク連動の中で最安値
- 過去実績から指数との連動も正確に行われている
- 再投資先のマザーファンドの純資産額が十分大きい
具体的な投資先となる国・地域の上位10は次の通りです。(2019/3/29現在)
1 アメリカ 64.0%
2 イギリス 6.0%
3 フランス 3.8%
4 カナダ 3.6%
5 スイス 3.1%
6 ドイツ 3.0%
7 オーストラリア 2.4%
8 香港 1.3%
9 オランダ 1.2%
10 スペイン 1.0%
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
新興国株式については、eMAXIS Slimシリーズの新興国株式インデックスを購入しています。
選択した理由は次の通りです。
- MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み)に連動
- 買付手数料が無料(ノーロード)
- 信託財産留保額が無料
- 解約手数料が無料
- 為替ヘッジなし
- 信託報酬手数料が同一ベンチマーク連動の中で最安値
- 過去実績から指数との連動も正確に行われている
- 再投資先のマザーファンドの純資産額が十分大きい
具体的な投資先となる国・地域の上位10は次の通りです。(2019/3/29現在)
1 ケイマン諸島 16.4%
2 韓国 12.6%
3 台湾 10.8%
4 中国 10.6%
5 インド 8.9%
6 ブラジル 6.9%
7 南アフリカ 5.5%
8 香港 3.7%
9 ロシア 3.6%
10 メキシコ 2.6%
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
先進国債券については、eMAXIS Slimシリーズの先進国債券インデックスを購入しています。
選択した理由は次の通りです。
- FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)に連動
- 買付手数料が無料(ノーロード)
- 信託財産留保額が無料
- 解約手数料が無料
- 為替ヘッジなし
- 信託報酬手数料が同一ベンチマーク連動の中で最安値
- 過去実績から指数との連動も正確に行われている
- 再投資先のマザーファンドの純資産額が十分大きい
- 99%以上の債券が格付けBBB以上
具体的な投資先となる国・地域の上位10は次の通りです。(2019/3/29現在)
1 アメリカ 46.2%
2 フランス 10.0%
3 イタリア 8.7%
4 イギリス 6.8%
5 ドイツ 6.7%
6 スペイン 5.7%
7 ベルギー 2.5%
8 オーストラリア 2.1%
9 カナダ 2.0%
10 オランダ 2.0%
大和-iFree 新興国債券インデックス
新興国債券については、iFreeeシリーズの新興国債券インデックスを購入しています。
選択した理由は次の通りです。
- JPモルガンガバメント・ボンド・インデックス―エマージング・マーケッツ グローバルダイバーシファイド(円換算))に連動
- 買付手数料が無料(ノーロード)
- 信託財産留保額が無料
- 解約手数料が無料
- 為替ヘッジなし
- 信託報酬手数料が同一ベンチマーク連動の中で最安値
- 過去実績から指数との連動も正確に行われている
- 再投資先のマザーファンドの純資産額が十分大きい
- 99%以上の債券が格付けBBB以上
具体的な投資先となる通貨の上位10は次の通りです。(2019/4/26現在)
1 メキシコ・ペソ 10.1%
2 ブラジル・レアル 10.1%
3 インドネシア・ルピア 10.0%
4 ポーランド・ズロチ 9.0%
5 タイ・バーツ 8.5%
6 南アフリカ・ランド 8.5%
7 ロシア・ルーブル 7.6%
8 コロンビア・ペソ 7.3%
9 マレーシア・リンギット 6.0%
10 その他 22.9%
投資信託の購入は金額で指定する
購入する投資信託が決まったら、いよいよ購入してみましょう。
証券会社の口座開設ができていれば購入手続きは難しくありません。
但し、購入の際に1つだけ気を付けることがあります。
それは、「金額指定で購入する」ということです。
金額指定にする理由
投資信託を購入する場合、購入する量を指定する方法が2通りあります。
それは、「金額を指定する方法」と「口数を指定する方法」です。
金額を指定する方法の場合、1円単位で購入額を指定できます。
例えば、4356円なども可能です。
一方、口数を指定する場合は、基準価格を1万口として1万口単位で購入することになります。
例えば、基準価格が12000円の場合、12000円の次は24000円でしか購入することができず、20000円などでは購入することはできません。
これが、何を意味しているかといいますと、
これから、自分の決めたアセットアロケーションに沿って各資産クラスに応じた投資信託を購入することになりますよね。
その場合、例えば、毎月1万円を積み立てるとして6つの資産クラスを均等に買い付けたいとした場合、1万円の1/6つまり1667円づつ購入する必要があり、1円単位で購入金額を指定できる必要が出てきます。
ですので、投資信託は金額指定で購入するようにしましょう。
購入手順
金額指定で購入する手順ですが、次の通りです。
購入したい投資信託のページに「金額買付」というボタンがありますので、クリックしましょう。
すると、以下のページが表示されますので、「購入金額」を1円単位で入力してください。
また、「分配金受取方法」が選択できる場合は、「再投資」を選択するようにしましょう。
理由は、分配金を受け取ってしまうと受取時に税金がかかり、その分利回りがわるくなります。
長期投資で複利の効果を最大限に活かすためには「再投資」としましょう。
まとめ
全5回で全世界への分散投資で資産形成を行う方法をご紹介しました。
実際に投資を始めてみると、最初のうちは日々の値動きが気になったりもしますが、年数を重ねると徐々に長期的な目線で投資を考えられるようになってきます。
自分の決めたルール(アセットアロケーションや積立金額)を守り投資を続けてみてください。
皆様の将来の資産形成に役立てれば幸いです。