私の投資方針:ETF中心の仕組み化と「守り」の設計

このページでは、私がどのような考え方で投資をしているかをまとめています。

「なぜこのETFを選んだのか」「なぜ債券を持たないのか」「NISAとiDeCoをどう使い分けているのか」といった、実際の判断と理由を書いています。一般的な投資入門ではなく、私自身の選択とその根拠の記録です。

投資の目的

私の投資の目的は、大きく分けて2つあります。

1つ目は老後資金の形成です。1970年代後半生まれの会社員として、将来の公的年金だけに頼ることへの不安から、自分自身で資産基盤を築くことを早い段階から決めていました。

2つ目は母親のケアへの備えです。同居の母を扶養しており、将来的に必要となるであろう介護・医療費用を、生活費とは別に確実に用意しておく必要があります。

一攫千金を狙う投資ではなく、20年以上かけて少しずつ積み上げてきた結果が現在の資産です。FP3級の取得で得た「お金の全体像」とライフプランを土台に、再現性と精神的安定を重視した投資方針を掲げています。

基本方針

私が大切にしている投資の原則は以下の5つです。

  • 株式メインのパッシブ投資
  • 全世界への時価総額加重平均での分散投資
  • 長期投資
  • 継続(市場から退場しないこと)
  • 分配金でリバランス

それぞれの考え方を順に説明します。

株式メインのパッシブ投資について

株式市場にはさまざまなリスクがあります。価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク、為替変動リスク、地政学的リスクなどです。それでも、過去の歴史を振り返れば、長期的に見て株式市場は成長し続けてきました。私の投資はその成長性を信じることを前提にしています。

債券を持たない理由は、リターンの低さです。株式と債券を組み合わせることで価格変動リスクが低くなることは理解しています。しかし、数十年単位の長期投資を前提にするなら、一時的な下落を許容することで、わざわざリターンを下げる必要はないと考えています。

また、個別株への投資はすでに「卒業」しています。2004年から個別株に集中投資していた時期に、「自分には個別株を当てる才能も時間もない」と見切りをつけ、2012年頃からパッシブ投資に完全に切り替えました。

全世界への分散投資について

分散投資と言っても、米国のS&P500に絞る人もいれば、全世界株式(いわゆるオルカン)を選ぶ人もいます。私が選択しているETFは以下の3本です。

  • VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)
  • iSTOPIX(iシェアーズ・コア TOPIX ETF)
  • VYM(バンガード・高配当株式ETF)

オルカンではなくVTを選ぶ理由

全世界株式に投資するなら、なぜオルカン(MSCI ACWI連動)ではなくVT(FTSE Global All Cap連動)なのかという点について説明します。

項目MSCI ACWI(オルカン)FTSE Global All Cap(VT)
銘柄数約2,800銘柄約9,500銘柄
市場カバー率約85%約98%
投資対象大中型株大中型株+小型株
構成国の数約50カ国約50カ国

理由はシンプルです。小型株まで含めた全世界の経済成長を取りこぼしたくないからです。オルカンもVTも長期リターンに大きな差はないとされています。しかし、同程度のコストで、より広い銘柄に投資できるVTを選ばない理由が見当たりませんでした。

加えて、VTには分配金があることも選定理由のひとつです。分配金を受け取ることが投資継続の心理的な支えになる、という点については後述します。

iSTOPIX(日本株式ETF)を組み合わせる理由

VTだけでも十分ではないか、と思う方もいるかもしれません。

私が日本株式ETFを上乗せしているのは、為替リスクへの対応です。日本に住み、日本円で生活する以上、資産の大半がドル建てになるリスクを和らげる必要があります。日本株式のETFを時価総額加重平均よりも多い比率で保有することで、円高局面でも資産が大きく目減りしない仕組みを作っています。

具体的には、VT(全世界)をベースに、iSTOPIX(日本株式)を上乗せすることで、為替リスクを抑えながら全世界の経済成長の恩恵も受けるスタイルをとっています。

VYM(高配当ETF)を組み入れる理由

VTとiSTOPIXと毛色の違うVYMを加えている理由は、分配金の確保です。

高配当ETFは、成長を犠牲にしてキャッシュフローを得る仕組みです。純粋なリターン最大化を目指すなら、VYMより全世界ETFを多く持つべきでしょう。しかし私にとってVYMは「精神安定剤」として機能しています。分配金が定期的に入ることで、暴落時でも「投資は報われている」という感覚を保ちやすくなります。この点は次の「継続」の話と深く関係しています。

長期投資について

私の投資観を一言で表すなら、「世界全体の成長に投資している」ということです。

インフレ、暴落、地政学的リスク。市場にはさまざまなリスクが常に存在します。それでも、資本主義の仕組みに基づいた世界経済は今後も成長し続けると考えています。もしその前提が崩れるなら、株式投資よりも先に社会全体が機能しなくなっているはずです。

だから長期保有にこだわります。短期の値動きに反応することをやめ、数十年単位の視点で市場に居続けることが、私の投資の根幹です。

継続について

投資において、「続けること」は「選ぶこと」よりも難しいと感じています。

暴落のたびに「もう売ってしまおう」という衝動を感じる人は少なくありません。私自身も2008年のリーマンショック後は、売ることも買い増すことも判断できず、ただ放置するしかありませんでした。しかしその放置が、退場を防いだ結果になりました。

その経験から、続けるための「仕組みと哲学」を持つことが重要だと気づきました。

私が分配金を受け取るETFにこだわる理由もここにあります。分配金を受け取る際には税金がかかります。再投資型に比べて、複利効果の面では不利です。それでも、分配金が定期的に振り込まれることで、「市場が下がっていても、投資は続けられている」という実感を保てます。2012年以来、一度も市場から退場していないのは、この仕組みが自分の性格に合っていたからだと思っています。

リバランスについて

投資を続けていると、ETFごとの価格変動によって保有比率が崩れてきます。一般的には、比率の多いファンドを売却し、比率の少ないファンドを購入することでリバランスをします。

私の場合は、給与収入からの追加投資と、ETFの分配金を使ってリバランスをしています。資産規模が大きくなるにつれて、給与からの追加投資だけでは比率の調整が追いつかなくなることが多いため、分配金という「手元のキャッシュ」を直接買い増しにあてられる仕組みは、リバランスの大きな助けになっています。

「売却」という行為を極力避けているのは、売却に心理的な抵抗があるからです。頭ではわかっています。ファンドを売却しても、分配金を受け取っても、税金はどちらも発生します。しかし「せっかく積み上げたものを売る」という感覚が、投資継続の妨げになると考えました。売却行為に抵抗がなく冷静に判断できる方には、このこだわりは不要かもしれません。しかし自分の性格を知った上での選択です。

非課税制度の活用(NISA・iDeCo)

国が用意している有利な制度は最大限に使います。

NISA

つみたて枠を中心に、毎月5万円を自動積立しています。NISAのつみたて枠ではETFが購入できないため、連動指数がVTと同じ「SBI・V・全世界株式インデックスファンド」を選択しています。

成長投資枠では、現在iSTOPIXを購入しています。以前はVTを購入していましたが、将来的な税制改正(外国税額控除が社会保険料計算に影響するリスク)を考慮して、国内ETFに切り替えました。旧NISAで保有しているiSTOPIXについては、ロールオーバーができないため、毎年末に旧NISA分を売却し、新NISAの成長投資枠で買い直す作業を続けています。

iDeCo

制度が始まった当初は上限の月2万3,000円を積み立てていました。しかし現在、退職所得控除の見直し(勤続20年超の優遇が縮小される方向)が議論されており、将来の受取時の税負担が増える可能性があります。

そのため現在は、掛け金を下限の月5,000円に抑えています。理由は、掛け金をゼロにすると退職所得控除の計算期間としてカウントされなくなるからです。少額でも続けることで、所得税・住民税の節税効果を享受しつつ、将来の受取に備えています。購入銘柄は「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」で、連動指数はVTと同じです。

NISA・iDeCoともに、連動する指数はVTに揃えることを基本にしています。

現在の課題:国内比率の引き上げ

資産1億円を達成した今も、最も意識しているのは「為替リスクへの対応」です。

現在の目標ポートフォリオは以下の通りです。

ETF目標比率
iSTOPIX(国内株式)40%
VT(全世界株式)40%
VYM(高配当株式)20%

現状はまだ全世界ETF寄りのポートフォリオです。当面はNISAの成長投資枠でiSTOPIXを購入し、特定口座でVTを購入しながら、この比率に近づけていく予定です。iSTOPIXの比率を40%近くに高めることで、円建ての安定したキャッシュフローを得ることができると考えています。

株式以外の資産(債券・不動産・金など)を加える予定は現時点でありません。投資方針の根幹は変えず、比率調整だけで対応していく計画です。

安全資産の考え方

安全資産とは、私の定義では「現預金のみ」です。国内債券ファンドなど、名目上は安全とされている資産も、私の分類では投資資産になります。

安全資産を保有する目的は、生活防衛資金としての機能です。具体的には「働けなくなった時の保険」として考えています。実際に休職を経験し、傷病手当金で生活した期間があったからこそ、この重要性を実感しています。

安全資産の保有額については、以下の2つの考え方があります。

  • 資産全体に対する一定割合を保有する
  • 生活費の一定月数分を保有する

私は2をアレンジした方法をとっています。理由は、1では資産が増えると安全資産も膨らみすぎるからです。資産1,000万円の時も、1億円の時も、私の生活レベルはほぼ変わっていません(物価上昇分の調整は除きます)。だから安全資産も「生活費の2年分」という固定の計算式にしています。

加えて、家電など生活必需品の買い替えに備えた積立金として50万円を別途確保しています。これで「生活費2年分+買い替え積立50万円」が安全資産の総量です。

この範囲を超えた現金は、原則としてすべて投資に回しています。安全資産を確保した上でのフルインベストメントが、私の基本スタンスです。

まとめ:仕組み化して淡々と続ける投資

私の投資方針を一言で言えば、「仕組みを構築して淡々と続ける投資」です。

感情で動かないために仕組みを作り、その仕組みを機能させるために自分の性格に合ったルールを設定する。20年以上の経験から学んだ最大の教訓は、「何を買うか」よりも「いかに続けるか」が結果を決めるという事実です。

その基盤となるのが、日商簿記2級の知見を活かして自作した資産管理ツール(Next.js / CloudRun / Supabase / GAS)です。家計をBS(資産状況)とPL(収支管理)の両面から定量的に把握することで、日々の株価に一喜一憂せず、本業や家族との時間に集中できる状態を作ることが、私にとっての理想の投資です。

この方針は、今後も変えるつもりはありません。