傷病手当金と生活防衛資金について考えたこと

はじめに

資産形成において「万が一働けなくなった時の備え」は必須です。私は現在、生活防衛資金として「生活費の2年分」という明確な基準に基づいた現金を確保していますが、同時に会社員が利用できる強力な制度である「傷病手当金」の存在も大きく意識しています。今回は、働けないリスクに対する私の考え方をまとめます。

生活防衛資金をどう設定するか

一般的に、生活防衛資金は「生活費の3ヶ月〜半年分」と言われることが多いですが、私は「生活費の2年分 + 家電等の買い替えバッファ50万円」という明確なルールで設定しています。

現在の私の月間生活費は25万円ですので、24ヶ月分(600万円)に50万円を加えた「合計650万円」を現金で確保しています。

資産額に対する比率(%)で管理するのではなく、あくまで「何ヶ月生き延びられるか」という期間で固定しているのがポイントです。資産が1億円を超えても、この「650万円」という絶対額を維持することで、資産残高に占める現金の割合を最小限に抑え、より多くの資金を運用に回せるようにしています。

この厚めの現金を確保している理由は、暴落と失業(または病気)が同時に来るリスクを想定しているからです。リーマンショックの時のように、株価が半分になり、かつリストラなどで収入が途絶えた場合、生活費のために底値で株を売却することになります。この最悪のシナリオを回避するためには、相場が回復するまでの少なくとも2年間を現金だけで生き延びられる資金が必要です。

会社員の最強の盾「傷病手当金」

一方で、病気やケガで長期間働けなくなった場合には、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。

  • 支給額:標準報酬月額の約3分の2
  • 支給期間:最長1年6ヶ月

私の現在の基本生活費は月25万円ですが、傷病手当金が支給されれば、生活費の大部分(あるいは全額)をカバーできる計算になります。さらに、私には年間約130万円の配当収入もあります。

つまり、「傷病手当金」+「配当金」の組み合わせがあれば、1年半の間は生活防衛資金(現金)をほぼ減らすことなく生活を維持できることになります。

制度を知ることで不安をなくす

ITエンジニアとしてシステムを設計する時、障害が起きた際のフェイルオーバー(代替システムへの切り替え)を必ず用意します。人生の資産設計においても同じです。

  • 第一の盾:配当金(年間約130万円)
  • 第二の盾:傷病手当金(最長1年半、給与の2/3)
  • 第三の盾:生活防衛資金(現金約650万円)

これだけの多重防御システムがあれば、「明日もし大病を患ったらどうしよう」という漠然とした不安からは解放されます。

早期退職(FIRE)との兼ね合い

この傷病手当金という強力な盾は、会社員(健康保険の被保険者)だからこそ使える制度です。早期退職をして国民健康保険に切り替わると、この制度は基本的に使えなくなります。

資産が1億円に達したからといって簡単に会社を辞められない理由の一つがこれです。手厚い社会保障を手放してまで早期退職をするべきか、それとも会社員としての恩恵を受けながらコーストFIREの状態で働き続けるか。このバランスが、現在の私の最大の検討課題となっています。