賃貸暮らしと資産形成の相性:固定費の身軽さ

はじめに

「家賃は掛け捨てだから家を買ったほうがいい」という意見は根強くありますが、私は一貫して賃貸暮らしを続けており、今後も持ち家を購入する予定はありません。総資産が1億円を超えた今でも、あえて賃貸を選び続けている理由と、資産形成において賃貸が果たした役割についてまとめます。

固定費の身軽さが最大の武器

投資において最も重要なのは「入金力」であり、入金力を高めるために最も効果的なのは「固定費を下げること」です。

賃貸の最大のメリットは、ライフスタイルや収入の変化に合わせて、住居費を柔軟にコントロールできる点にあります。例えば、本業の収入が減った場合や、早期退職をして収入が配当金メインになった場合、家賃の安い物件に引っ越すだけで生活水準を劇的に下げることができます。

住宅ローンという何十年も続く固定の負債を持たないことで、精神的な身軽さを保てたことが、私が長期的な投資を続けられた一因だと感じています。

まとまった資金を市場に置いておける

家を購入する場合、頭金や諸費用としてまとまった現金が必要になります。私の場合、その現金をETFとして市場に置き続ける道を選びました。

仮に1,000万円を頭金として使わず、利回り4%のETFで運用していれば、年間40万円の配当金が生まれます。この配当金を家賃の一部に充てるという考え方をとることで、不動産という流動性の低い資産ではなく、換金性の高い金融資産を持ち続けることができました。

メンテナンスの「外注化」という考え方

持ち家の場合、設備の故障や大規模修繕、自然災害時のリスクはすべて自己責任となります。ITエンジニアとしての仕事柄、サーバーの保守を専門業者に任せるのと同様、住居の維持管理も「管理会社」という専門家に外注しているのが賃貸の強みだと考えています。

排水口の詰まり一つとっても、電話一本で解決する。自分の貴重な時間と労力を住宅のメンテナンスに割くのは非効率であり、そのリソースを投資や仕事に充てる方が合理的です。

アセットアロケーションの歪みと流動性

資産が1億円を超えた今、改めて強く感じるのは「ポートフォリオの健全性」です。

世界全体の投資可能な資産比率(グローバル市場ポートフォリオ)を見ると、不動産(投資用)が占める割合は5%程度です。1億円の資産があるからといって、その数千万を一戸の住宅に集中させることは、分散投資の観点からは極めてハイリスクな「一点買い」になります。

また、私は独身で母親を扶養している立場です。万が一の際、残された家族にとって最も扱いやすいのは現金や株式といった「分けられる資産(ペーパーアセット)」です。不動産のような流動性が低く、分けるのが難しい資産を持たないことは、家族に対する一つの優しさだとも考えています。

独身・母親扶養というライフスタイル

将来、母親の介護が必要になったり、自分自身が高齢になったりした際、今の場所に住み続けるのが最適とは限りません。施設への入居や、病院へのアクセスが良い場所への移住など、状況に応じて柔軟に住む場所を変えられる賃貸のほうが、私のライフプランには合致しています。

同様の理由で、私は「車」も所有していません。これら人生の2大固定費を持たない戦略の詳細については、以下の別記事で詳しく書いています。

まとめ

持ち家か賃貸かは個人の価値観によるため、正解はありません。ただ「資産形成のスピード」と「人生の選択肢の多さ(流動性)」、そして「リスクの分散」を優先する私にとっては、賃貸暮らしは非常に相性の良い選択だったと確信しています。