急激な円高や為替介入に動揺しても「長期分散つみたて」をやめる意味が全くない理由

昨日の政府・日本銀行による為替介入とみられる急激な円高の発生により、為替市場や株式市場が大きく揺れ動いています。ドル建て資産や全世界株式(VTなど)を中心に運用している場合、一夜にして円換算の資産評価額が大きく減少し、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

このような急激な変化を目の当たりにすると、「このまま円高が進むなら積み立てを一時停止した方がいいのではないか」「一度利益確定して様子を見るべきではないか」といった迷いが生まれることがあります。

しかし、2004年から20年以上にわたり投資を続けてきた私の実体験から言えば、こうした一時的な為替の動きを理由に長期分散つみたてを止めたり変更したりすることは、何の意味もありません。それどころか、長期的な資産形成の成果を自ら損ねてしまうリスクすらあります。この記事では、急激な円高局面で起きていることの整理と、なぜ長期つみたてを淡々と継続すべきなのかについて、私の考えをお伝えします。

為替介入による円高で何が起きているのか

今回のような急激な円高局面において、投資家の手元で起きている変化は、主に外貨建て資産の「円換算評価額の減少」です。

円安局面で膨らんでいた見かけの含み益の減少

ここ最近の円安傾向の中で、外貨建てETFや投資信託を保有している人の多くは、株価自体の値上がりに加えて為替差益による含み益を享受していました。資産額の数字が増えていく様子を見て、安心感を抱いていた方も多かったはずです。

今回の円高シフトは、そうした「為替効果によって膨らんでいた見かけの含み益」が一気に削ぎ落とされた状態と言えます。保有している企業の価値や口数が減ったわけではなく、あくまで「現時点での円換算レート」が変わったに過ぎません。

一時的な為替変動と資産の本質的な価値

政府による為替介入などは、短期的には市場に大きなインパクトを与えますが、為替レートは長期的には各国の金利差や経済成長率、インフレ率などのファンダメンタルズによって形成されます。一時的なイベントによる急変動に一喜一憂しても、世界全体や主要企業の成長性という本質的な価値が損なわれたわけではありません。

急激な円高局面におけるメリットと注意点

急激な円高と聞くとマイナスのイメージを持ちがちですが、長期的な積立投資家にとっては捉え方が大きく異なります。

円高局面は買い付け単価を引き下げるチャンスになる

長期分散つみたてを行っている投資家にとって、円高局面は明確なメリットをもたらします。それは「同じ円資金で、より多くの外貨建て資産(口数)を購入できる」ということです。

株価が一定であっても、円高が進むほど1口あたりの円換算価格は安くなります。ドルコスト平均法を活用して定期積立を行っている場合、円高の時期こそが将来の資産成長に向けた「安い仕入れ時」となります。積み立てを中断してしまうと、この安く口数を買い集める貴重な機会を自分から手放すことになってしまいます。

短期的な含み益減少による心理的ストレス

一方で、注意すべき点もあります。それは短期的な含み益の減少がもたらす心理的なストレスです。

資産評価額が急速に減っていくグラフを見ると、人間はどうしても「これ以上損をしたくない」という感情に支配されやすくなります。その結果、本来の計画を無視して積み立てを止めたり、底値付近で手放してしまう狼狽売りにつながることがあります。このメンタル面の負荷こそが、円高局面における唯一にして最大の注意点と言えます。

20年の投資経験から振り返る為替変動と自動積立の記憶

私は2004年に株式投資を開始し、これまでにリーマンショックや東日本大震災後の超円高(1ドル75円時代)、コロナショック、そして近年の記録的な円安など、様々な為替・相場の変動を経験してきました。

過去の過度な円高・円安局面でも積み立てを止めなかった理由

かつて1ドル70円台前半という極端な円高が続いた時期がありました。当時は「日本経済はもうダメだ」「ドル建て資産を持つのは危険だ」といった悲観論が世の中に溢れていました。

しかし、私は当時も毎月の自動積立をそのまま変更せずに続けました。当時は資産額が目減りしていく感覚もありましたが、結果としてその超円高期にコツコツと買い溜めた海外ETFや投資信託が、その後の円安・株高局面で巨大な含み益を生み出す原動力となりました。もしあの時に相場の雰囲気に呑まれて積立を止めていたら、2026年に総資産1億円を達成することは到底できなかったと感じています。

日々の値動きに意識を向けることの最大の弊害

投資を長年続けてきて実感するのは、「日々の値動きや為替ニュースを気にする時間そのものが無駄であり有害である」ということです。

毎日為替レートをチェックして「今日は2円円高になったから積立額を減らそうか」などと考え始めると、判断の軸がブレて心理的に消耗します。市場の短期的な動きを個人が予測して完璧なタイミングで売買することは不可能です。日々の値動きに意識を向けるのをやめ、相場から適度な距離を保つことこそが、長期投資を成功させる鍵となります。

為替の波に振り回されずに積立を継続するための仕組みづくり

相場が荒れている時でも感情を挟まずに投資を続けるためには、あらかじめ仕組みを整えておくことが大切です。

自動積立と資産画面を見ないルールの徹底

最も有効な対策は、給与口座や証券口座での「完全自動積立」を設定し、日常的に口座画面を見ないようにすることです。

私自身、毎月の積立買い付けは完全に自動化されており、日々の為替介入や株価の急落があっても設定を変更することはありません。株価や為替のニュースが盛り上がっている時ほど、あえて証券口座にログインしないようにするくらいのスタンスがちょうど良いと感じています。

生活防衛資金を別に確保しておく安心感

積み立てを途中で止めたくなる原因の多くは、「手元の現金が足りなくなるのではないか」という不安から来ます。

生活費の2年分程度を「生活防衛資金」として安全な現預金で確保していれば、投資資産の評価額が円高で一時的に目減りしても日常の暮らしに影響はありません。十分な現金の裏付けがあるからこそ、為替がどれだけ乱高下しても動じずにリスク資産を保有し続けることができます。

まとめ:相場の騒がしさに惑わされず淡々と続ける

政府による為替介入や急激な円高といったニュースは、投資家の不安を煽りやすいものです。しかし、長期分散つみたてを前提としている投資家にとって、短期的な為替の振れ幅に反応して投資方針を変えることは、何の意味もありません。

円高は将来のための仕入れ単価を下げる機会であり、円安は過去に買った資産の評価額を高める機会です。どちらの局面にもそれぞれの意味があり、長期で見れば双方の波を飲み込みながら資産は成長していきます。

日々の値動きや為替の騒がしさに意識を向けず、決めたルールに従って淡々と積み立てを続けていくこと。それこそが、長期投資において最もシンプルで力強い戦略であると私は考えています。

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