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年末調整と確定申告・還付申告の違い!会社員の控除仕分けと期限の全一覧

毎年11月頃になると、勤務先から年末調整の書類提出やWeb入力の案内が届きます。

新社会人の頃はもちろん、会社員生活を長く続けていても、年末調整と確定申告、そして還付申告の違いに迷う方は少なくありません。

私自身、20年以上会社員として働きながら投資や資産形成を続けてきましたが、最初の頃は、なぜ会社がすべての控除を処理してくれないのか、医療費控除やふるさと納税はなぜ自分で申告しなければならないのかが、よく分かっていませんでした。

システム開発になぞらえると、年末調整は会社が従業員の給与情報や控除情報をもとに行う一括処理です。一方、確定申告は個人の所得や控除などを含めて、年間の税額を最終的に計算する手続きです。

この記事では、年末調整と確定申告・還付申告の違い、会社員が利用できる主な控除の仕分け、申告が必要になるケース、そして申告期限のルールを整理します。

結論:年末調整は所得税の精算、確定申告は年間の所得と税額を申告する手続き

会社員が納める所得税は、毎月の給料やボーナスから「源泉徴収」という形で概算額が天引きされています。

しかし、毎月の源泉徴収額は、年間の給与総額や最終的な所得控除などをすべて反映した税額ではありません。

そこで、1年間の給与や賞与が確定した後、勤務先が年間の所得税額を計算し直し、源泉徴収した税額との差額を精算します。

これが年末調整です。

  • 源泉徴収した税額が年間の税額より多い場合:差額が還付される
  • 源泉徴収した税額が年間の税額より少ない場合:不足分が追加徴収される

一方、確定申告は、個人が1年間の所得や所得控除、税額控除などを税務署に申告し、所得税額を確定させる手続きです。

確定申告には、主に次のようなケースがあります。

  • 法律上、確定申告をして納税する必要があるケース
  • 確定申告の義務はないものの、控除などを申告して税金の還付を受けるケース

後者が「還付申告」です。

会社員にとっては、年末調整で反映されなかった医療費控除や寄附金控除などを追加するために利用することがあります。

ただし、還付申告をすれば必ずお金が戻ってくるわけではありません。すでに源泉徴収などで納めた所得税があり、年間の税額より多く納めている場合に還付が発生します。

年末調整でできる控除と確定申告が必要な控除の一覧

会社員が利用できる主な控除は、年末調整で適用できるものと、原則として自分で確定申告をする必要があるものに分かれています。

控除の仕分け一覧表

控除の種類年末調整確定申告
基礎控除可能可能
配偶者控除・配偶者特別控除可能可能
扶養控除(親や子ども)可能可能
障害者控除・ひとり親控除・寡婦控除可能可能
社会保険料控除(給与天引き分)原則自動で反映可能
社会保険料控除(個人で支払った分)可能(申告・必要書類あり)可能
小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)可能(必要書類あり)可能
生命保険料控除可能(必要書類あり)可能
地震保険料控除可能(必要書類あり)可能
住宅ローン控除(初年度)原則不可必要
住宅ローン控除(2年目以降)可能(必要書類あり)可能
医療費控除不可必要
セルフメディケーション税制不可必要
寄附金控除(ふるさと納税など)不可(ワンストップ特例を除く)必要
雑損控除(災害・盗難など)不可必要
株式の譲渡損失の損益通算・繰越控除不可必要

※「確定申告が可能」と記載している項目は、年末調整で適用済みの控除を重複して申告するという意味ではありません。年末調整に反映されていない控除や、申告内容の訂正などがある場合に、確定申告で適用を受けることができます。

このように、生命保険料やiDeCo、家族の扶養などは、必要な情報や証明書を勤務先に提出すれば年末調整で処理できます。

一方、医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の初年度などは、原則として本人が確定申告を行います。

年末調整で扱える控除にも提出が必要なものがある

年末調整で処理できる控除であっても、すべてが自動的に適用されるわけではありません。

例えば、次のような情報は勤務先への申告や証明書の提出が必要になることがあります。

  • 生命保険料控除:保険会社から届く控除証明書
  • 地震保険料控除:保険会社から届く控除証明書
  • iDeCo:小規模企業共済等掛金払込証明書など
  • 国民年金保険料:控除証明書など
  • 配偶者控除・扶養控除:申告書に必要事項を記載

また、給与から天引きされている健康保険料や厚生年金保険料などは、通常、勤務先が把握しているため、従業員が別途証明書を提出する必要はありません。

なぜ医療費控除やふるさと納税は年末調整で処理できないのか

「会社がすべての控除をまとめて年末調整してくれればよいのに」と思う方もいるでしょう。

しかし、年末調整で扱える控除は法律や制度によって定められており、すべての控除を勤務先が処理する仕組みにはなっていません。

1. 年末調整で扱う控除と本人が申告する控除は制度上分かれている

年末調整は、勤務先が従業員の給与や賞与、扶養状況、保険料などの情報をもとに、給与に対する所得税を精算する手続きです。

一方、医療費控除や雑損控除などは、本人が年間の支出や被害状況などを集計し、必要な明細書などを作成して申告する制度です。

例えば、医療費控除では次のような情報が必要になります。

  • 本人や生計を一にする家族が支払った医療費
  • 保険金や給付金などで補てんされた金額
  • 医療費控除の対象となる支出かどうか
  • 医療費控除額の計算

勤務先が従業員の年間の医療費を把握しているわけではないため、本人が必要な資料を整理して申告する仕組みになっています。

2. 個人の事情に応じた申告が必要になる

ふるさと納税や医療費控除、雑損控除などは、個人の支出や事情によって適用の有無や控除額が変わります。

例えば、ふるさと納税は寄附先や寄附金額、医療費控除は実際に支払った医療費や保険金などの補てん額によって計算します。

そのため、これらは本人が内容を確認し、確定申告で申告する仕組みになっています。

医療費や寄附先などの情報にはプライバシーに関わるものもありますが、年末調整で扱わない理由を単純にプライバシー保護だけで説明することはできません。制度上、本人が申告する控除として区分されている点が重要です。

確定申告と還付申告の決定的な違い

確定申告と還付申告は、どちらも確定申告書を提出する手続きですが、申告の目的や期限が異なります。

納税義務がある人の確定申告

会社員であっても、一定の条件に該当する場合は確定申告が必要です。

代表的なケースは次のとおりです。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受けていて、一定の条件に該当する人
  • 給与所得や退職所得以外の所得金額が20万円を超える人(一定の条件あり)
  • 給与所得があり、その他の理由で確定申告義務が生じる人

給与所得者の場合、一定の条件を満たせば、給与以外の所得が20万円以下のときに所得税の確定申告が不要となる制度があります。

ただし、これは所得税の確定申告に関するルールです。

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は原則として別途必要になる場合があります。

また、医療費控除や寄附金控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めて申告する必要があります。

確定申告の期限は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。土日祝日などに当たる場合は、期限が変更されます。

期限までに申告や納税をしなかった場合、状況によっては延滞税や無申告加算税などが発生する可能性があります。

税金を取り戻すための還付申告

一方、会社の年末調整を終えている会社員が、医療費控除やふるさと納税の追加、年末調整での控除の出し忘れなどによって所得税の還付を受けるために行うのが還付申告です。

例えば、次のようなケースです。

  • 医療費控除を受けたい
  • 年末調整で生命保険料控除を申告し忘れた
  • iDeCoの掛金を年末調整に反映できなかった
  • 住宅ローン控除の初年度に該当する
  • 災害や盗難などによる雑損控除を受けたい

還付申告には、通常の確定申告期間である3月15日という期限はありません。

原則として、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。

例えば、令和8年分の所得について還付申告をする場合、令和9年1月1日から令和13年12月31日までが申告できる期間です。

2月16日の確定申告期間が始まるのを待つ必要はなく、翌年1月から申告できます。

ただし、還付申告であっても、青色申告特別控除など法定申告期限までの提出が要件となっている特例を適用する場合は、別途期限に注意が必要です。

また、すでに確定申告を提出している人が、後から控除の漏れなどに気づいた場合は、通常の還付申告ではなく「更正の請求」など別の手続きになることがあります。

会社員のケース別申告ガイド

自分の状況に合わせて、年末調整だけで済むのか、確定申告や還付申告が必要なのかを整理しておきましょう。

年末調整だけで完了するケース

例えば、次のような会社員は、原則として年末調整だけで所得税の精算が完了します。

  • 給与の支払元が1か所
  • 年間の給与収入が2,000万円以下
  • 年末調整に必要な申告書や控除証明書を提出済み
  • 医療費控除や雑損控除など、確定申告が必要な控除を受けない
  • ふるさと納税はワンストップ特例の条件を満たして申請済み

ただし、副業所得や複数の勤務先からの給与など、ほかの事情がある場合は別途確認が必要です。

確定申告(還付申告)を行うケース

次のような場合は、確定申告が必要、または申告することで税金が戻る可能性があります。

  • 医療費控除を受けたい
  • ふるさと納税でワンストップ特例を利用していない
  • ふるさと納税先が6自治体以上ある
  • 住宅ローン控除の初年度に該当する
  • 年末調整で生命保険料やiDeCoなどの控除を申告し忘れた
  • 災害や盗難などによる雑損控除を受けたい

なお、ふるさと納税でワンストップ特例を申請していても、医療費控除などのために確定申告をすると、そのワンストップ特例は無効になります。

その場合は、ワンストップ特例を申請した分も含め、その年に行ったすべてのふるさと納税を確定申告に含める必要があります。

また、年末調整で控除を出し忘れた場合も、控除を追加すれば必ず全額が戻るわけではありません。実際の還付額は、所得や源泉徴収税額などによって変わります。

投資を行っている会社員のケース

株式投資をしている会社員は、NISA口座と特定口座などの違いを理解しておく必要があります。

NISA口座

NISA口座で得た売買益や配当金は、一定の条件のもとで非課税になります。そのため、通常は年末調整や確定申告で申告する必要はありません。

特定口座(源泉徴収あり)

特定口座(源泉徴収あり)で発生した上場株式等の譲渡益や配当等は、原則として確定申告不要を選択できます。

ただし、次のような場合は確定申告を検討することがあります。

  • 複数の証券口座間で損益通算したい
  • 株式の譲渡損失を翌年以降に繰り越したい
  • 配当所得と譲渡損失を損益通算したい
  • 外国税額控除を受けたい

一方、特定口座(源泉徴収あり)の所得を確定申告に含めると、合計所得金額や住民税の課税所得などに影響する場合があります。

その結果、国民健康保険料や各種給付・負担判定などに影響するケースもあります。

ただし、影響の有無や範囲は、加入している健康保険制度や自治体、申告する所得の種類などによって異なります。会社員が加入する健康保険と、国民健康保険では仕組みも違います。

また、現在は所得税と住民税で異なる課税方式を選択することが原則としてできなくなっています。株式の所得を申告するかどうかは、所得税の還付額だけでなく、住民税や各種制度への影響も含めて判断しましょう。

投資をしている方は、確定申告をすることで得られるメリットと、申告によって生じる可能性のある影響を比較することが大切です。

まとめ:年末調整で完了する控除と確定申告が必要な控除を整理しよう

年末調整と確定申告・還付申告は、どちらも所得税に関係する手続きですが、役割が異なります。

  • 年末調整:勤務先が給与から源泉徴収した所得税を年間の税額に精算する
  • 確定申告:個人が1年間の所得や控除などを申告し、所得税額を確定させる
  • 還付申告:納め過ぎた所得税の還付を受けるために行う確定申告

会社員の場合、生命保険料控除やiDeCo、扶養控除などは、必要な申告や書類提出を行えば年末調整で処理できます。

一方、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除、住宅ローン控除の初年度などは、原則として本人が確定申告を行う必要があります。

また、還付申告は通常の確定申告期間を待たずに翌年1月から提出でき、原則として5年間の期限があります。

自分が利用できる控除を把握しておけば、年末調整だけで済むのか、確定申告をした方がよいのかを判断しやすくなります。

特に医療費控除やふるさと納税、株式投資の損益通算などは、会社員でも見落としやすいポイントです。

年末調整の書類を提出して終わりにするのではなく、1年間の所得や支出を振り返り、利用できる控除がないか確認してみましょう。

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