外貨建て変額保険を解約した話:投資を勉強する前に加入した商品の末路

2004年に投資を始める前後、私は銀行の窓口で外貨建て変額保険という商品に加入しました。

当時の私は「銀行が勧めるのだから安全なはずだ」という程度の理解しかなく、資産運用についてほとんど知識がありませんでした。その判断がどんな結果をもたらしたか、今の視点で振り返ります。

加入したのは「プライムチャンス」という保険商品

私が加入したのは、プライムチャンスという外貨建て変額保険です。

仕組みを簡単に整理すると、まず保険料を外貨(米ドル)で払い込みます。払い込んだお金の一部が「特別勘定」として運用に回され、目標金額に到達した時点で日本円で受け取れる、というものです。

加入時のパンフレットには「約2年で120%を達成できる」というシミュレーションが載っていました。

私は「仮に4年かかったとしても年率5%。銀行の金利よりずいぶんマシだろう」と考え、あっさり加入を決めました。今思えば、この判断は典型的な失敗のパターンです。

1年目・2年目で元本を15%ほど割り込んだ

加入後、定期的に送られてくる運用報告書を見るたびに不安になっていきました。

シミュレーション通りどころか、1年目、2年目ともに元本を約15%下回っていました。当時は「相場が悪い時期だから仕方ない」と自分に言い聞かせていましたが、同じ時期に株式市場そのものは悪くなかった記憶があります。

なぜ増えないのか。その答えは、商品の構造を理解した後に初めてわかりました。

なぜ増えないのか:手数料の多重構造

この商品をひと言で言うと「手数料が多層になっている運用商品」です。

為替手数料、初期手数料(加入時5%)、運用中の費用(信託報酬に相当・年率3%前後)、そして解約控除(加入初年度10%)が重なっています。

特に問題だと感じたのは運用コストの高さです。今で言えばeMAXIS SlimやVTのような低コストインデックスファンドの信託報酬は年率0.1〜0.2%程度ですが、この商品は3%前後かかっていました。

運用利回りが世界株式の平均的な期待値(年率5〜6%程度)だとすると、そこから3%を費用として差し引けば残りは2〜3%です。为替リスクと初期手数料が加われば、実質的に元本が増える余地はほとんどありません。

2年目に解約を決断した

加入後に投資について真剣に勉強し始め、この商品を保有し続けることの意味を見失いました。

解約すると元本の何%が戻ってくるのかを確認したところ、加入から1年未満では80%程度という回答でした。解約控除が10%かかっていたためです。

2年目の時点では約85%程度に改善していましたが、それでも15%のマイナスです。

「このまま持ち続けるか、今損を確定して解約するか」という選択でしたが、私は解約を選びました。理由は2点です。

1点目は、運用費が毎年3%超かかっているため、保有期間が長くなるほど費用が積み上がること。2点目は、当時の相場が上向きにも関わらず2年間で利回りがほぼゼロだったことから、この商品の構造的な問題だと確信したからです。

最終的には投資額の85%での解約となりました。為替が円安方向に動いていた時期を狙ったこともあり、15%のマイナスで済んだことは不幸中の幸いでした。

銀行が勧める理由は自明だった

解約後に理解したのは、この商品を銀行が積極的に販売する理由の単純さです。

銀行側のリスクはゼロです。加入時の為替手数料、保険会社からのバックマージン、そして加入者の資産が増えても減っても定期的に運用手数料を受け取ることができます。

「銀行は手数料を取っていない」と説明されることがありますが、これは「加入者から直接取っていない」というだけです。保険会社を通じた間接的な収益構造になっています。

解約した資金でVTを買い始めた

解約後、手元に戻った資金でVT(バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF)を購入し始めました。

VTは世界約8,000社の株式に一度に分散投資できるETFで、信託報酬は年率0.07%程度です。外貨建て変額保険と比べると、コストが文字通り桁違いに低い。

あの失敗がなければ、ETFという選択肢に真剣に向き合うことはなかったかもしれません。痛い経験でしたが、投資の原則を自分ごととして理解するきっかけになったと今は考えています。

まとめ:複雑な金融商品は「誰が儲かるか」を最初に考える

20年以上投資を続けてきた今から振り返ると、あの判断の問題は「商品の複雑さをそのままにして加入を決めた」点に尽きます。

仕組みが複雑で説明がわかりにくい金融商品は、たいていの場合、提供する側にとって有利にできています。理解できないものにお金を置いてはいけないというのが、あの失敗から学んだ最大の教訓です。

資産を守るうえで、シンプルさは重要な評価基準だと考えています。