
令和8年度(2026年)の税制改正で、暗号資産(仮想通貨)の課税方式が大きく変わることが決まりました。これまで最大55%だった税率が、株式と同じ申告分離課税20.315%へ引き下げられる方向です。
「これで暗号資産も投資しやすくなった」という声を耳にします。実際、税制面での不利は大きく解消されつつあります。
それでも私は、VT・iSTOPIX・VYMというETFを中心とした投資方針を変えるつもりがありません。このページでは、その理由を自分なりに整理してみます。
今回の税制改正で何が変わるのか
まず、今回の変更の内容を確認します。
| 項目 | 改正前(現行) | 改正後 |
|---|---|---|
| 課税方式 | 総合課税(雑所得) | 申告分離課税 |
| 税率 | 最大55%(所得により変動) | 一律20.315% |
| 損失繰越 | なし | 3年間繰越控除が可能 |
| 適用開始 | − | 2028年1月1日以降の譲渡から |
適用時期は2028年以降になる見込みです。金融商品取引法等の改正施行を受けた翌年1月1日から適用される仕組みのため、2026年・2027年分の申告は引き続き現行の総合課税で行う必要があります。
また、この優遇税率が適用されるのは、国内の登録業者を通じて取引される「特定暗号資産」に限られる見込みです。海外取引所や分散型取引所(DEX)での取引は対象外になる可能性があるため、実際の適用範囲は今後の詳細な規定を確認する必要があります。
税制面での追い風があることは事実です。ただ、そのことと「自分が暗号資産に投資するかどうか」は別の話です。
なぜETFを動かす気になれないのか
投資の目的は「仕組みを動かし続けること」
私が2012年にインデックス投資・ETF中心に切り替えた理由は、「自分に個別株を当てる才能も時間もない」と悟ったからです。
暗号資産に対しても、同じような問いを自分に向けてみます。「ビットコインやイーサリアムの価値が今後どう動くかを、自分は判断できるのか」という問いです。
答えは「できない」です。
株式市場であれば、世界の企業の総体的な利益成長という長期的な裏付けがあります。ETFはその成長を受け取る仕組みです。一方で暗号資産は、その価格を支える利益構造が株式とは異なります。長期にわたって「世界経済の成長に乗る」という私の投資観とは、根本的にかみ合わない部分があります。
税制が改善されたからといって、この判断が変わるわけではありません。
分配金という「継続の報酬」がない
私がETFにこだわる理由の一つが、分配金の存在です。
2012年以来、一度も市場から退場していない理由を自分なりに分析すると、「下落局面でも分配金が振り込まれることで、投資を続けている実感を保てた」という点が大きいと思っています。
暗号資産には分配金がありません。価格が上がれば資産が増え、下がれば減る。それだけです。
暴落時に「それでもこの資産を持ち続ける根拠」が、私には見当たりません。2018年のビットコイン暴落のような局面で、自分が冷静でいられるかどうかを考えると、正直なところ自信がありません。
「守り」フェーズに入った今、変数を増やしたくない
2026年5月に総資産1億円を達成しました。現在の意識は「増やす」よりも「守る・維持する」にあります。
このフェーズで大切にしていることは、リスクの管理よりも、仕組みの安定性です。VT・iSTOPIX・VYMというETFの組み合わせで、年間130万円(税引後)程度の分配金を得ながら、給与収入を加えてNISAを使いつつ積み上げていく。この仕組みはすでに動いており、手を入れる必要がありません。
ここに暗号資産という新しい変数を加えることは、「仕組みを複雑にする」だけです。管理コストが増え、精神的な負荷も増えます。それが何かを改善するとは思えません。
「税制優遇」に引っ張られない判断
税制の変化は、投資の「コスト」に影響します。しかし投資を判断する軸は、コスト以外にもあります。
私の場合、以下の順番で判断しています。
- 長期的な価値の裏付けがあるか
- 自分が仕組みとして続けられるか(分配金・自動化・心理的安定)
- 税制・コスト面での最適化
暗号資産は1と2の段階で、私の基準を満たしません。税制が株式並みになったことは、3の話であり、1・2が変わったわけではありません。
まとめ:「しない理由」は明確にしておく
投資において「なぜやらないか」を言語化することは、意外と重要です。
新しい優遇税制が登場するたびに方針をぶらしていると、軸がなくなります。私が暗号資産に手を出さない理由は、「怖いから」でも「よくわからないから」でもありません。
この3点が、私がETF一本足打法を貫く理由です。
税制が有利になることは良いことだと思っています。ただ、「有利」と「自分に合っている」は別の話です。2028年以降の正式適用後も、この方針を変えるつもりは今のところありません。

